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藤原正彦


書名父の威厳 数学者の意地
文庫新潮文庫 ふ−12−5
初出平成6年6月『父の威厳』刊行。
発行平成9年7月1日
頁数315ページ
定価476円(本体)
ISBN4-10-124805-2

藤原正彦(WikipediA)

藤原だからといって、私の親戚でも何でもない。親戚に文庫本を出せる程の 文才のある者がいる筈もない。

藤原正彦といえば、新田次郎をすぐ思い浮かべられる人は相当のものである。 最近、富士山レーダーが不要になり撤去されることになったそうだが、その設 置にかかわったのが藤原正彦の父、新田次郎である。というようなことは、こ の本を読んで始めて知った。

『父の威厳』という題であるが、この父は氏のことであり、父の威厳がいか に落ち切っているかを示す冒頭エッセイで本書は始まる。もちろん、父の威厳 が落ちた分、母の威厳、妻の威厳が上がっていることも暗に言っているのであ る。まるで私の家庭のことのようである。

氏は著名な数学者であるが、本書はあまり数学者らしいところのないエッセ イである。今だ武士道精神にもとづいて行動しようとする、どこか非常に矛盾 している学者のエッセイである。この矛盾が面白いのである。

巻末の中編の『苦い勝利』というのは、息子の小学校の修学旅行の検便と戦 う氏の姿が書かれている。衛生状態の向上した現在、修学旅行前に検便すると いうことは無意味になっているのだが、未だに修学旅行前に検便を強いる学校 当局との戦いを氏は挑んだのである。

検便のためにそこまでやるかと思うが、結局、検便拒否のため息子は修学旅 行に行けなくなるのである。詳しくは読んでくれ。


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