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谷口雅男


書名ふるほん文庫やさんの奇跡
文庫新潮 OH!文庫 135
初出1998年12月ダイヤモンド社より刊行
発行2001年12月10日
頁数504ページ
定価848円(本体)
ISBN4-10-290135-3

ふるほん文庫やさんというのを知ったのは 何年前になるだろうか。インターネット上に出現してすぐに知ったと思う。そのころから、 経過を見ていたのであるが、あれよあれよと言う間に、在庫冊数はどんどん増え、今は50万冊とか。

私は、技術書とか仕事で関係する本以外は、できるだけ文庫本を読むことに決めている。 なんたって小さいので、持ち歩きに便利なのである。活字好きなら、文庫本は欠かせないであろう。 もちろん、文庫本が安いのも重要な理由である。

しかし、次々と新しい文庫が突如出現する昨今であるが、じっくり読んでもいいかなというのは さほど無い。それよりなにより困るのが、読みたいなと思った文庫本も、見つけたときにさっさと 買っておかないと本屋から簡単に消えてしまうのである。読みたくなれば図書館へ行けばよいはずなのだが、 残念ながら日本の図書館はまだまだ本が無い。とにかく、新刊書を入手できる期間は非常に短い。 コンピュータ関連なら数ヵ月が普通で、文庫本でも数年すればかなりが消えてしまっている。 読みたい本を探すのは、本当に難しいのである。

だいたいは新刊の文庫本を買うのだが、どうしても入手不可能になると、神田あたりの古本屋を 探すこともある。しかし、見つけられることはまず無い。しかし、ここはさすがに冊数が多いためか、 かなりの確率で捜し出せる。でも、どんどん捜し出してしまい読み始めると止まりそうに無いので、 ちょっと仕事が暇になるまでは手を出すのを止めている。毎日1冊くらい読んで、後は適当に 過ごすのが理想と思っているのだが、そういう生活にはなかなかなりそうにない。

将来構想という話だった としょかん文庫屋さん(NPO)が いつの間にか出来上がっていた。学校がまるごと図書館になってしまっている。 たった一人で始めてここまでやり遂げてしまうというのは狂人でなければ無理だと思うが、 本当に執念とは恐ろしい。中学生の頃に九州に修学旅行に行ったけれど、それ以来九州には 行ったことが無い。一応本と関係深い仕事もしたことがあるので、 本が、それも文庫本が延々と並んでいる姿は是非見てみたいのである。

ありとあらゆる本が、今は読まれもしないでどんどん処分されている時代である。 本を作ったり書いたりする立場にあった者としては、どうにも寂しい。 古本を延々と集めて、本当に読みたい人、本を大切にする人に提供するということは、 非常に素晴らしいことである。そういうことについて知りたい人は、ぜひこの本を読んでみては いかがだろうか。本書の印税はNPOの『としょかん文庫やさん』への寄付になるそうだ。

私にはとても真似ができないが、この本を買って読んで、今は感動して終りである。 北九州まで、文庫を求めての旅ができるのがいつかは分からぬが、それは将来の楽しみである。


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