文庫本のホーム群ようこ

群ようこ


書名東洋ごろごろ膝栗毛
文庫新潮文庫 む−8−10
初出新潮文庫に書下ろし
発行平成9年10月1日
頁数321ページ
定価514円(本体)
ISBN4-10-115920-3

いいかげんな旅行記三部作「亜細亜ふむふむ紀行」「またたび東方見聞録」 「東洋ごろごろ膝栗毛」の最後であるが、3冊で終るかどうかは本人も知らな いようである。出版社持ちの旅行であるから、本の売行き次第であろう。

今回は、台湾篇と北京篇である。要するに、中国である。とはいっても、こ の差は極めて大きい。

I 台湾篇
まあ、ちょっとした旅行記といったくらいである。買物と食事が メインの旅行で、適度にトラブルがある程度である。北京篇の 前座みたいなものかな。

II 北京篇
北京、広東、宮廷、四川の中国4大料理を食い尽くして来る旅である。 出版関係者の旅であるゆえ、傲慢な者も多く、じゃんじゃんトラブル をまき散らして来る。酔っ払っては、道路で転がったりとかしたらしい。
といっても、群ようこは酒は飲まないようで、食う方に専念である。 この旅行で、男性陣は全員ダウンし、女性陣は全員健康そのものという のは、今の日本の男女の体力差を示しているようである。
最後に、北京からの帰り、空港で思いっきり化粧品を買い漁り、飛行 機の出発を遅らせてしまうなんぞはさすがである。 「ビジネスクラスの客をおいて、飛行機は飛ぶようなことはせえへんから、大丈夫なんや」 と飛行機の中で言い放つとは、出版社も本を面白くするためとはいえ、 すごい同行者を選ぶものである。

書名またたび東方見聞録
文庫新潮文庫 む−8−8
初出新潮文庫に書下ろし
発行平成8年8月1日
頁数297ページ
定価480円
ISBN4-10-115918-1

群ようこは、海外に行ったのを旅行記風にまとめているのが何作かある。こ の東方見聞録は、当然東方の話、つまり東アジアへの旅行の話である。

構成順に紹介しよう。

Iタイ篇
仲間4名で、暑い暑いタイへの旅である。話は、最初から、最後まで、 暑い、暑いが中心で、まあ、その他のことは料理が不味いとか、そう いう愚痴ばかりである。このへんは、いつもの通りの筆致である。

II上海篇
こちらは、金持ち新潮社が、群ようこを中国は上海へ連れて行けば、 面白おかしく、体験、感想を書いてくれるに違いないということで 行った大名旅行記である。
それにしても、群ようこの本を日本語の勉強の教科書として使用した というガイドに会ったというのはすごい。でも、群ようこの本は日常 的で、日本を知るには文学作品を読むより良いだろう。
「またたび」と題名についているように、上海に麻雀をしに行ったの である。中国の麻雀牌の大きいことを知っているだろうか。私は香港 で見たが、大きすぎて玩具のようであった。

III京都篇
これはオマケである。いつも母親のドジ加減をエッセーに書いている 群ようことしては、まあ恩返しの意味もあって母親をつれて京都へ着 物の買い出しツアーに行く。
何度も何度も「私は財布」というのが出てくるが、まあ超売れっ子作 家で、高価な着物を買える身分が、こっちとしては羨ましい。

なお、本書の題にある、「またたび」であるが、「股旅」か「マタタビ科」 なのか、あるいは両方をかけているのか、その辺りは私にも分からない。文庫 の帯を見たら、「猫にまたたび、日本人にアジア!」とある。群ようこがいく ら猫好きだからといって、植物の「マタタビ」の話は無かったような気がする。 それとも、群ようこがアジアに行くのは、猫にマタタビと同じなのか。


文庫本のホーム群ようこ