文庫本のホーム
中村桂子

書名生命のストラテジー
著者松原謙一、中村桂子
文庫新ハヤカワ・ノンフィクション文庫 NF202
初出1990年5月岩波書店より単行本刊行
発行1996年3月31日
頁数309ページ
定価602円(本体)
ISBN4-15-050202-1

遺伝子、DNAを切口にして、人間から大腸菌、ウイルスに至るまでをまと めて解説した本である。

現在では、生物を分子レベルで考えることはごく普通になってきた。もう30 年位前だろうか、『2重ラセン』という本が出て、訳も分からず読んで感激し たような記憶がある。それ以来、あまり簡単な解説書か、雑誌記事くらいしか 分子生物学、あるいは人ゲノム計画などについては読んだことが無かった。

でも、けっこうきつい本であった。こういう分野なので、どんどん専門用語、 名称が出て来るのであるが、全然覚えられないので、用語は曖昧な理解、ある いは誤解のまま読み進んだ。

人間の遺伝子は驚く程の無駄でできているらしい。さらに、人間は平均して 8〜10個の欠陥遺伝子を持ちつつ生存しているとか。

進化したと思われている人類などの遺伝子には無駄が多く、進化していない と思われている大腸菌の方が徹底的に効率的な無駄の無い遺伝子に仕上がって いるという。

今では、遺伝子から各生物間の関係が相当はっきり分かるようだ。私が学校 で習ったころの進化の木は、やはりちょっと修正しなければならないようだ。

書名あなたのなかのDNA
必ずわかる遺伝子の話
著者中村桂子
文庫新ハヤカワ・ノンフィクション文庫 NF176
発行1994年3月31日
頁数231ページ
定価500円
ISBN4-15-050176-9

私は、遺伝子関係の本を読むのは好きなんで、あれこれ読んでいる。本書は、 生命科学研究者として著名な中村桂子氏が、非常にわかりやすく、会話の形式 で、現代の生命科学を、DNAを丁寧に解説した、ちょっとした教養書である。

DNAに関しては、遺伝および遺伝子治療、バイオテクノロジー、さらには ヒトゲノム計画など、言葉として知られている部分は多いと思うが、誤解も非 常に多い分野である。

最近は、この分野の研究が非常に進んでいることは知ってはいたが、長い間 この分野の本は読んでいなかった。学生の頃、生物物理学などの本をちょっと 読んだり、『二重らせん』の本を読んだりはしたが、もう忘却の彼方のことで あった。

とくに、遺伝子治療の誤解については、著者はかなり力が入っていた。遺伝 子治療をすると、子孫に影響が出るという誤解が多いのを解こうとしているの であった。

本書全体で、DNAと生命との関係を説いているのである。DNA自体の説 明もあるが、それ以上に、DNAが生命とどう関係し、あらゆる生命体に共通 する遺伝子の話、また各個体が如何に異なる遺伝子を持っているか。そして、 その多様性とバランスが生命なんだと。

ところで、今まで、竹内久美子の『利己的な遺伝子』の系列ばかり読んでい たので、普通の本であったが、新鮮であった。

さて、本書にも、著者のサインをもらったのである。このサイン、ちゃんと DNAが赤で書かれていて、いかにもDNAの本にふさわしいサインであり、 大変気に入っております。

(1996年4月20日)


文庫本のホーム