清水義範

講談社文庫/主要四教科/清水義範


書名はじめてわかる国語
西原理恵子
文庫講談社文庫 し−31375
初出「小説現代」に「なにはともあれ国語」として連載
2001年11月号〜2002年10月号
単行本2002年12月講談社刊
発行2006年2月15日
頁数351ページ
定価619円(税別)
ISBN4-06-275272-7

清水義範の勉強シリーズ(?)を目にしたので、久々に読んでみた。

毎度のことながら悪ノリが一杯なのだが、著者自身が教育大学の出身で、 国語の先生の免許を持っているということもあって、ちょっと他よりは真面目というか、 言い訳がましいところも多々見受けられる。

でも、結構為になったこともある。童謡の解説をしている個所があって、 意味が分らないまま歌わせられて、そのまま大人になっているのだが、 実はとんでもない誤解をしていた、という話がでてくる。

その中の1つに、「赤い靴」が取り上げられている。「赤い靴」にはちゃんとモデル になった女の子がいたこと、「赤い靴」の歌詞では、異人さんに連れられて 遠くに行ちゃったことになっている。確かに異人さんである宣教師に預けられ、 宣教師が日本を離れるときに一緒に行くはずだったが、病気のために一緒に行くことができず、 病死したのである。

この話はぼんやりと覚えていて、横浜の山下公園で銅像を探したこともある。 詳しくは、東京都港区麻布十番の ローリエヤマモトさんの 赤い靴の女の子 きみちゃん を見てほしい。

最後が文章読本の話でしめくくられている。小学校の国語の話をしていたはずなのだが、 急に格好を付けたくなったのかどうか知らないが、ここは知らないことが色々あって、 面白く読めた。

文章読本は色々あって、谷崎のが一番有名なのだが、 一人前になったと思い上がった作家が次ぎから次ぎへと文章読本を書いているのだ、 という話が出てくる。この部分は、著者というよりも、「文章読本さん江」という本及び その著者である斎藤美奈子氏との対談である。 この本、要するに、「文章読本を斬る」という感じの本らしい。 まあ、そのうち読もうかと思う。

本文の感想をほとんど書いていないが、皆の想像する通りであるので、省略する。

2006年2月18日

書名どうころんでも社会科
西原理恵子
文庫講談社文庫 し−31−25
初出「小説現代」 1997年11月号〜1998年8月号
単行本1998年11月講談社刊
発行2002年8月15日
頁数268ページ
定価533円(本体)
ISBN4-06-273514-8

どうも、理科のネタが尽きて、あるいはこれ以上やるとボロが出てしまうのを 恐れて社会科に切替えたようである。いずれにしても、このシリーズ、まあ、 どうせ、理科につづいて社会科をも適当に面白おかしく解説してしまおうという 魂胆にきまっているのであるが、読んでしまった。

しかし、意外にちゃんと、人間のありとあらゆる生活やら活動が、ちゃんと 社会との係わりがあり、なにをやってもちゃんと社会科の対象になるんだよ、 というとても真っ当なことも書いてあった。なぜ沖縄で北海道の産物である ワカメが大量に消費されるのかの理由を、社会的背景からきちんと説明しているではないか。 このあたりは、あまりにまともでびっくりした。

本書を読んで、1つだけ大変勉強になったことは、小学校などで行っていたグループ学習という グループで勝手に考えなさいという学習方法は、実は当時のアメリカでの仕事のやり方を 子供のうちから慣れさせる、体験させるために文部省が採り入れたと書いてあった。 つまり、プロジェクト・チームごっこを子供のうちからやることで、 早くから日本の子供達を優秀なサラリーマンにしようという魂胆だったとある。

西原の絵は、ますます過激になり、どんどんいい加減になり、本文とどう関係しているのか さっぱり分からなくなる一方である。まあ、そうしかならないと思ってだれもが見るものだから とくに問題はないだろう。

ところで、プロジェクト・チームごっこの事であるが、なにしろ清水義範の書く文章であるので、 どこまで信用してよいかは分からない。一応教育大学出なのは確からしいのだが。

2002年8月14日

書名もっとおもしろくても理科
西原理恵子
文庫講談社文庫 し−31−19
初出「小説現代」 1995年7月号〜1996年7月号
単行本1996年12月講談社刊
発行2000年1月15日
頁数266ページ
定価476円(本体)
ISBN4-06-264716-8

『おもしろくても理科』の続編である。 「もっと」という言葉がついたが、「もっとおもしろい」とまでは思えなかった。

今回は、遺伝と宇宙の話である。DNAと遺伝子の話を読んでいたら、例をだ して説明してくれるのであるが、「DNAを東海道線とすると、遺伝子はその上 を動いている電車のようなもの」とのたとえがあって、私の頭では???となっ たが、その後を読み進むと、ちゃんとした研究者からの手紙があり、それを紹 介することで正しく補足していた。人から送られて来た手紙まで使ってしまう とこらはさすがであり、見習わなくてはならない。

著者の、科学小説(?)を書く時の姿勢が紹介していた。答えは、正しくなくても よく、小説なんだから何書いてもいいという書き方をする、とのこと。

科学知識をつけるための本とういより、もっと軽い本なんで、まさかこういう 本で科学を勉強しようという人がいるとは思わないが、実際にはいるんでしょうかねぇ。 ただ、非科学的な部分が多くなり過ぎると、SFだって、白けてしまうだけである。 ほどほどとは難しい。

期待のサイバラの絵であるが、内容と殆んど無関係に進んでいくところが 何ともいいのである。

2000年2月12日

書名おもしろくても理科
西原理恵子
文庫講談社文庫 し−31−15
初出「IN☆POCKET」
1991年11月号〜1994年1月号、不定期連載
単行本1994年10月講談社刊
発行1998年3月15日
頁数258ページ
定価467円(本体)
ISBN4-06-263626-3

この本、単行本で出た時に、買おうかどうしようか迷った本である。早く読 みたいという気持ちはあったのだが、数年待てば絶対に単行本で出ると思って いたので、ずっと待っていたのである。そういうこともあり、ちょっと期待が 大き過ぎた面は否めない。

話は慣性の法則から始まり、時間の概念に言及し、脳の問題(脳プロブレム) にも及び、地球の履歴書を作り、最後は人口問題に及ぶ。しめくくりは、種の 絶滅(現在4日に1種は着々と絶滅)であり、人類の予定通りの絶滅を予測す るのである。

種の絶滅だ、環境問題だ、エコロジーだと世は騒いでいるが、これらの最大 の原因は人類の存在が原因とある。まさにその通りである。そして、人類によっ て、種の絶滅は増加し、21世紀には毎日1種が絶滅予定になっているらしい。 でも、地球上に現れた生命、その種のほとんどはすべては絶滅していって、現 在残っているのは極めて珍しい種類なんだから、人類の絶滅も地球の歴史から 考えればどうってことはない。地球は、人類の滅亡など気にもしない些細なで きごとに過ぎない。

とにかく、とっても理科的で、鋭いのである。とても堅い説明が続くことも 多いのである。もちろん、オチもあるし、おふざけも満載だし、ツッコミもあ る。そして、さいばらの「理科なんか分からんもんね」調の「え」が入って、 全体の調子が整えられている。もちろん、さいばらは「恨ミシュラン」で著名 であり、それはさいばらの人柄と、何を食っても食中毒にならないことで実現 したことが本書から分かる。

人類滅亡「そしてどれもいなくなった」では、

「可愛いお子さんですなあ。おいくつで」
「5歳です」
「そうですか。でもこの子も、いずれは年をとって死んでしまいますよ」
なんて心配はしなくてもいいんだよ、と人類滅亡で絶望的になっている人々 への教えもある。

理科が嫌いな人も、この本で勉強すれば理科が得意になったりすることは無 いと思うが、理科に対する印象は変わるかも知れない。なんていうより、ただ の清水流の笑えるエッセイだと思って読めばいいだけである。

1998年3月26日


清水義範