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柴門ふみ


 
書名サイモン印
文庫文春文庫 さ−25−1
初出1993年7月文藝春秋より刊行
発行1996年12月10日
頁数231ページ
定価420円
ISBN4-16-757901-4

柴門ふみのミーハーぶりを、みずから綴ったエッセイである。もちろん、ミー ハーなことだけが書いている訳ではないのだが。

実際は、漫画家としての生活を書いているだけなのである。それも、気軽な タッチで、日常のことをあれこれ書いているに過ぎない。漫画家だから、とう ぜん我々のような生活とは違い、それだけでも楽しめる。もちろん、柴門ふみ だから、「愛」とかに関することが、あちこちに、さりげなく書いている。

とにかく、女性のエッセイには深刻なのが少なくて、読んで為になるかどう かは知らないが、深刻なものより、より本音が書いてあるような気がする。男 は建前(理屈)で生き、女性は本音(感情)で生きる、と言われているらしい が、こういうエッセイを読むと、つくづくそう思う。

気楽に読めるエッセイとして、「柴門ふみ」の一連のエッセイは好きであっ たのだが、終りの方に、もうこれを最後のエッセイ集にするようなことが書い てあって、残念である。

 
書名サイモン・セッズ
おしゃべりな目玉焼(2)
文庫新潮文庫 さ−31−3
初出平成3年11月小学館より刊行
発行平成8年3月1日
頁数264ページ
定価440円
ISBN4-10-132023-3

「柴門ふみ」は有名な漫画家である。旦那のほうも有名な漫画家の弘兼憲史 氏である。弘兼氏のアシスタントをやっているうちに結婚してしまい、「愛」 をテーマにした作品を多く手掛けているらしい。「らしい」とつけたのは、私 は漫画を殆ど読まないので、柴門ふみの有名な『東京ラブストーリー』も知ら ない。

でも、彼女は漫画家であるが、エッセイも多数書いていて、それが面白いの で、私は柴門ふみのエッセイ本をほぼすべて買い集めることにしている。といっ ても、単行本は高くて買えないので、文庫になったときに買うことにしている。

本書は副題に『おしゃべりな目玉焼』とあるように、オシャベリなのである。 漫画家の日常のできごと、思っていることを、ズバズバと書いているのである。

漫画家だけあって、イラストも全部自分で入れていて、これが楽しいのであ る。全部が漫画だと、「ちょっとねー」と思う私であるが、適切に漫画によっ て言いたかった気持ちをグサーッと表現しているのがいいんだなあ。

もちろん、「愛」がテーマの人だから、この本も「男と女」のことがかなり ある。でも、ネチネチしていなくて、本人自身が、自分は男性的で、夫の方が 女性的だと書いているいるように、実に明るい笑える本である。

そもそもペンネームの柴門は、ポール・サイモンに夢中だったというのでつ けたくらいで、自称ミーハーであり、実際本を読んでもミーハーなのが分かる。 とにかく、私はこういう類の、気楽に、脳天気に読める本が好きなんだからしょ うがない。


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