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米山公啓


書 名さらば大学病院
発行日 1998年5月9日 初版第1刷
発行元株式会社 アドア出版
定 価1500円(+税)
サイズ四六判 219ページ
ISBN4-900511-16-1

本書はサイン本であり、サインを右に示す。

本書は、『大学病院最後の一年』 とかなり重なる部分があると思うが、『大学病院最後の一年』は日記になって いるが、こちらはエッセイになっている。帯には、「僕はこれを書くために 大学病院を辞めた」とあるが、これは帯の売り文句であって、実際には辞める ことにした経緯が書かれている本である。

でも、まあ、どの社会も似ているものだというのは共感する。コンピュータ の世界は、医者の世界ほどの階層構造はないけれど、でも似たところはやたらに ある。

そういう話とは別に、閑職というのか、人間ドック担当助教授になっていた とき、大学病院の救命センターで火災があったそうだ。救命センターの地階に 電気設備があり、そこから火が出て、その上の救命センターは当然ダメになり 当然死にそうな人々を別の建物に移動という大事件があったらしい。たぶん、 このくらい大きな事件なら、新聞にも載ったに違いないと思う。

ところが、閑職というか、疎外された部署にまではそういう大学病院の危機 的状況すら伝えられず、ナースも含めて誰も大火災を知らなかったらしい。そ れで、なんかぼやがあったらしいという程度でいたら、理事長に呼びつけられ て、激怒している理事長の状況からことの重大さをやっと察知し、その後真相 を調べるということになった。ここまで情報伝達の悪い組織というのも珍しい。

私のメーリングリスト で、最近コンピュータ関係の事故が頻発していて、その原因の多くが電源 トラブルであるとの話題になっていた。電気がダメになったら、どんなに立派 なコンピュータだって、ただの箱であり、何もできない。そして、今の医療っ て、医療器械、それもコンピュータ制御されているものも多く、電気がダメに なったら、医療現場ってそうとう大変じゃない、という話題になったら、「手 術中に電気が来なくなって‥‥‥」なんて話題に進んだんだが、この事件て、 そんなもんじゃないですね。大学病院の救命センターが火災なんて、最悪もい いところ。う〜ん、恐ろしい。


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