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米山公啓


書名週刊医者自身
文庫集英社文庫 よ−7−7
初出週刊プレイボーイに「医学でどうだ!」として連載
発行1998年9月25日
頁数246ページ
定価476円(本体)
ISBN4-08-748856-X

週刊プレイボーイの連載だったということもあり、非常に軽いタッチで書か れたエッセイである。エッセイだけでなく、イラストも本人が書いたようである。

このイラストが、とても雑というか、いい加減さで溢れているのである。そ して、とっても惨めったらしいというか、うらぶれたのが多く、医者の世界な んて本当にこんなもんなんだ、決して医者を目指して勉強などしてはいけない よ、というのをイラストで伝えようとしているみたいなのである。

週刊誌の連載なので、1つのエッセイはかなり短い。毎回テーマを決めて、 それに対する解説であるが、なかなか面白いものも多い。

たとえば、『なぜ頭が痛い科がないのか』というのがある。今は、大病院へ 行けば、臓器単位で診察が分れているわけだが、我々素人には、頭が痛い、腹 が痛い、胸が痛いなどは分るが、さてどの科へ行けば良いのかは分らない場合 が多い。そもそも各科が何をやるのかすら分らない。

大きな病院だと、受付があって、そこで患者は相談するようになっていたり する。そうでもしなければ、どこへ行けば良いのかが分らない。とにかく、専 門的になってしまって、患者からみると全然分らなくなってしまった診療科目 を批判したりしているのだが、この分類も病院で勝手にはつけられなくて、実 に大変らしい。

医者が、医者の世界のことをあれこれ批判的に書いているのであるが、まあ そんなことより、そういう社会に生きる医者や看護婦などの心理を軽妙に書い ていて、楽しめるというものである。ついでに、知識や雑学も溜まる。

1999年5月9日


書名さまよえる患者
文庫集英社文庫 よ−7−5
初出1994年3月日本経済新聞社より
『転院してください』として出版
文庫本収録にあたり改題
発行1997年8月25日
頁数262ページ
定価476円(本体)
ISBN4-08-748674-5

本書は、4編の転院シミュレーション・ストーリーである。つまり、患者が 次々と転院させられていくのだが、転院させざるを得ない医療の現状と、また 大学病院という高度医療機関と、転院先のそれなり医療機関との差を扱ったも のである。

何が何でも生命の維持に全力を尽くす救命救急センターと、もう絶対に助か らないことが分かっている場合の治療、先輩医師たちの冷静過ぎる対処などに 対して主人公である若手医師の心の動きは、どう考えてもエッセイで書かれて いた著者のと同様である。

医者、あるいは元医者が本を書くことは昔から良くある。森鴎外、斉藤茂吉 がそうである。しかし、昔は医療現場自体を本にすることは少なかったが、最 近は医者や看護婦の書いた本が目立つようになってきた。

一般の人が、変な医学教養書を読んで変な知識を身につけるより、こういう 本で、さまざまな内幕、医者も普通の人間なんだ、なんてことを知る方がいい のではなかろうか。

1998年7月18日


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