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養老孟司


書名涼しい脳味噌
文庫文春文庫 よ−14−1
初出I「諸君!」 II「文學界」
発行1995年6月10日
頁数274ページ
定価450円
ISBN4-16-757301-6

たいそうへその曲がった解剖医であり、最近まで東大医学部の教授をしてい た養老先生の書である。

私も東大の医学部へは行ったことがあるが、この本に書いてあるように、解 剖の実習で分けた人間の腕が、医学部の窓から落ちて来るのはまだ見たことが ない、また、そのような噂は、残念ながら聞いていない。

東大ではないが、他の大学で、あまりにも熱心な医学生が骸骨の模型を自宅 に持ち帰ってまで勉強しようとして、帰りに電車のなかに忘れて大騒ぎがあっ たという話は聞いたことがある。

話がそれてしまった。本書は、2部からなっている。主に、「諸君!」と 「文學界」という雑誌に載せたものをまとめたものである。I部の方が、本書 の題名にもある脳などを中心とした話ではあるのだが、まあ、養老先生風の目の つけどころが十分にひねたエッセイである。

出だしから、解剖実習の話である。つまり、東大での解剖の授業がいかにい い加減なものか、死体の管理のずさんさを誇示したり、なかなか面白い。まあ、 内容については、読んでもらうしかない。

この本を読んで最初に感じたのは、何と言っても 山本夏彦氏に似ているということである。 私の感覚だからたいして当てにはできないが、文章が非常に似ているのである。 もちろん、扱っている分野は違う。でも、話の展開の仕方などが似ているので ある。そうこう思っているうちに、本文中にも出て来た。

「脳ミソください」という短いエッセイで、山本夏彦主宰の『室内』という 雑誌に載ったものである。もう山本夏彦は年なので、もうころっといってもい いころである。そして、山本氏は特異な人なので、是非脳を見てみたいという 話である。

II部は、「文學界」に載った、相当文学的な内容である。主に、書評であ るが、ほとんどここで取り上げられている本を読んでいないので、よく分から なかった。


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